自営業の後継者を募集する方法は?M&Aマッチングサイトの活用も

自営業の後継者を募集する方法は?M&Aマッチングサイトの活用も

身内や従業員の中に後継者候補がいない場合、自営業の後継者はどのように探せばよいのでしょうか?後継者不在の問題を抱える企業や個人が増加する昨今、第三者承継の手段が多様化しています。事業承継の流れやM&Aの成功事例も紹介します。

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自営業者の後継者問題とは?

自営業とは、自分で事業を営むことです。美容院や飲食店、青果店など、自分で事業を営む者は業種を問わず「自営業」に含まれます。

法人を設立して自営業を営むケースもありますが、法人格を持たない自営業者(個人事業者・個人事業主)をメインに解説していきます。

高齢化と後継者難で廃業が増加

日本の全企業における中小企業(個人事業者を含む)の割合は、99%以上を占めます。『2019年版 小規模企業白書』の『個人事業者の概観』によると、中小企業のうち50%以上は個人事業者です。

『個人事業者数の推移』を見ると、個人事業者数(中規模企業を含む)は1999年から2016年の間で約40%減少しており、特に規模の小さい事業者ほど減少が顕著です。

休廃業・解散件数が増加している理由には、経営者の高齢化が関係していると推測されます。『年齢階級別に見た自営業主数の推移』の調査では、2000年は50~54歳が最多であるのに対し、2018年は70歳以上が最も多い結果となりました。

『2022年版 小規模企業白書』によると、20年の休廃業・解散件数(中小企業)は4万9698件で、経営者の平均年齢は62.5歳です。経営者の平均年齢は年々上昇傾向にあり、後継者が見つからなければ廃業せざるを得ない実態がうかがえます。

参考:2019年版 小規模企業白書|中小企業庁

参考:2022年版 小規模企業白書|中小企業庁

第三者承継を検討する自営業者も

中小企業庁が公表する『個人事業主を巡る状況と事業承継に係る課題について』という資料によると、個人事業主(※)の事業承継は「親族内承継」が大半を占めており、「親族に承継させたい」という意向を持つ60歳以上の個人事業主は76%を超えます。

一方、働き方が多様化した近年は、子どもが家業を継がないケースも珍しくありません。身内や従業員の中に後継者がいない場合、第三者承継を検討する自営業者が徐々に増えているのが現状です。

第三者承継とは、親族や従業員以外の第三者を後継者にすることです。大抵は『売却』で事業を譲渡するため、事業用資産に応じた対価を受け取れます。

『2019年版 小規模企業白書』によると、個人事業主が後継者に事業を引き継ぐまでにかかった期間は、1年未満が61.3%、1年以上3年未満が21.9%という結果でした。業種によりますが、遅くとも引退の1年前から準備を始めるのが望ましいでしょう。

※個人事業主:個人事業を営む経営者本人。法人でいう『企業』に対応するものとして表記。

参考:個人事業主を巡る状況と事業承継に係る課題について|中小企業庁

参考:2019年版 小規模企業白書|中小企業庁

自営業の後継者を募集する方法

第三者承継は事業の売却であり、後継者は買い手です。企業の買収・売却では、M&Aの仲介会社にサポートを依頼するケースが多いですが、規模の小さな個人事業の場合、仲介会社が間に入ることはほとんどありません。

それではどのような手段で後継者を探せばよいのでしょうか?

求人サイトへの情報掲載

一つ目は、求人サイトへの情報掲載です。Webサイトや紙媒体の求人サイトに『後継者募集』の広告を掲載すれば、興味のある人の目に留まる可能性があります。

ただし、一般的な求人サイトは『働き口を探している人』が見るもので、後継者になりたい人や事業の買収に興味がある人が見ている可能性は、それほど高くはないと考えられます。

費用がかかる可能性はあるものの、経営幹部・後継者に特化した転職エージェントやハイクラス人材向けの求人サイトを活用するのも有効です。

後継者人材バンクへの登録

『後継者人材バンク』とは、国が設置する公的相談窓口『事業承継・引継ぎ支援センター』が提供するサービスの一つです。

創業を希望する人と事業承継を望む人を引き合わせるプラットフォームの位置付けで、事業承継の相談・登録に費用はかかりません。

事業承継・引継ぎ支援センターを利用する譲渡者の約7割は小規模事業者です。相談件数は年々増加傾向にあり、2020年度の相談件数は約6万件、事業引き継ぎ件数は約5,000件にも上っています。

経験豊富なプロがマッチングから成約までをサポートしてくれるため、初めての人にとっては心強いでしょう。

後継者人材バンクに限ったことではありませんが、親族内承継と違い、自身の思いや経営方針を後継者候補に理解してもらうのに時間がかかるケースがあります。必ずしも承継がスムーズに進むとは限らない点を覚えておきましょう。

参考:第三者承継支援|事業承継・引継ぎポータルサイト

参考:後継者人材バンク|事業承継・引継ぎポータルサイト

M&Aプラットフォームの利用

かつては会社や事業の買収・売却というと、大手企業に限られたものでした。近年は、事業承継に悩む中小企業や個人事業者が増えたことにより、『M&Aプラットフォーム』のニーズが高まっています。

M&Aプラットフォームは、Web上で売り手と買い手をつなぐサービスで『M&Aマッチングサイト』とも呼ばれています。ほとんどのサービスでは、売り手と買い手が直接やりとりできるため、仲介会社を介するよりも安価かつスピーディーです。

料金や交渉のルールは運営会社によって異なります。複数を比較した上で、利用しやすいものを選択しましょう。M&Aプラットフォームの利用に関しては、以下のコラムでも詳しく紹介しています。

後継者不足はマッチングサービスが解決。利用時の注意点は? 後継者不足はマッチングサービスが解決。利用時の注意点は?
具体的事例
後継者不足はマッチングサービスが解決。利用時の注意点は?

M&Aのマッチングとは、ニーズの合致する売り手と買い手を引き合わせることを意味します。深刻化する後継者不足の解決策としても、マッチングサービスが活用されているのをご存じでしょうか?サービスを選ぶ上でのポイントや留意点を解説します。

自営業のM&A事例が多数「TRANBI」

『TRANBI(トランビ)』は、M&Aや事業承継に挑戦したい個人や企業のためのプラットフォームです。ユーザー登録数は業界最大規模の10万人以上で、『Gomez M&Aプラットフォームサイトランキング2022』では堂々の1位を獲得しています。

TRANBIの魅力は、売り手に掲載費用や成約費用がかからない点です。買い手は基本的に月額会員制のため、本気で事業を引き継ぎたい人がオファーを出します。参考情報として、未経験者売却率は70%で、売り案件1件当たり、平均で15社の買い手候補が名乗りでています。

近年は小規模事業者や個人事業主の事業承継が増えており、起業をしたいという買い手とのマッチングが数多く成立しています。

事業承継・M&Aプラットフォーム TRANBI【トランビ】

事業承継に必要な手続きは?

後継者が見つかった場合、どのような手順を踏んで事業承継を行えばよいのでしょうか?法人格のない自営業者は、取締役のような法的な地位や株式を有していません。法人の事業承継とは、手続きが大きく異なる点に注意しましょう。

廃業・開業に伴う手続き

まずは、現経営者が所轄税務署と都道府県税事務所に「廃業届」を提出し、後継者が「開業届」を提出することで、税務上の手続きは完了します。

所轄税務署に提出する廃業届は「個人事業の開業・廃業等届出書」で、国税庁のWebサイトからダウンロードが可能です。都道府県税事務所の「事業開始(廃止)等申告書は、都道府県ごとに様式が異なります。

また人によっては、所轄税務署に以下の届出書・申請書を提出する必要があります。

  • 所得税の青色申告の取りやめ届出書(青色申告をしていた人)
  • 所得税および復興特別所得税の予定納税額の減額申請書(予定納税をしていた人)
  • 事業廃止届出書(消費税を納税していた人)
  • 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書(従業員を雇用していた人)

事業用資産の変更手続き

事業承継では、名義変更によって事業用資産を引き継ぎます。手続きは多岐にわたるため、後継者と協力して段取りよく進めましょう。以下は手続きの一例です。

  • 屋号の引き継ぎ
  • 賃貸借契約(事務所・店舗など)の再契約
  • 許認可の再申請
  • 従業員の引き継ぎ

商号登記している屋号を後継者が引き続き使用する際は、管轄の法務局で変更の手続きを行いましょう。許認可が必要な事業があれば、所轄行政庁で許認可の再申請を行います。

従業員を引き継ぐ場合は、雇用契約をいったん解除した上で、後継者と新たに契約を結び直さなければなりません。

取引先の引き継ぎ

忘れてはならないのが、取引先の引き継ぎです。自営業は取引先やビジネスパートナーとのつながりによって成り立っているといっても過言ではありません。

後継者が既存の取引先をそのまま引き継ぎたい場合は、取引先から承認を得た上で、後継者が新たに契約を結び直す必要があります。

恩義のある取引先に対しては事業承継が決まった時点で事情を丁寧に説明し、後日、後継者と一緒にあいさつに行くのが望ましいでしょう。

個人が事業承継を行う流れやポイントに関しては、以下のコラムでも解説しています。

事業承継を個人が行う場合の流れ。案件の探し方や譲渡金額も確認
具体的事例
事業承継を個人が行う場合の流れ。案件の探し方や譲渡金額も確認

経営者の高齢化や後継ぎ不足が問題となる昨今、親族以外の個人が事業を承継する事例が増えています。事業承継を目的としたM&Aでは、どのようなスキームが用いられるのでしょうか?売り手・買い手に必要な手続きや案件の探し方を解説します。

自営業者によるM&Aの成功例

『TRANBI』の数あるM&A成約事例の中から、法人格を持たない自営業者が事業承継に成功した事例を紹介します。事業承継型のM&Aは年々増加しており、企業ではなく個人が買い手となる事例も少なくありません。

立ち退き寸前にM&Aが成立した飲食店

店舗が入居するビルの取り壊し寸前にM&Aが成立した事例があります。一度はリタイアを考えたものの、事業を第三者に譲渡し、新たなオーナーの下で自らが働くことを選択しました。

『店舗がない状態での事業譲渡』『再出店した店で店長として雇用する』という条件を付けたにもかかわらず無事に成約が決まったのは、日本政策金融公庫とTRANBIの力が大きかったといいます。

日本政策金融公庫の担当者にアドバイスをもらいながら、TRANBIで買い手を探したところ、4社との面談が実現し、立ち退きの約1カ月前に成約が決まりました。

初めての事業譲渡では、経験豊富なプロのサポートが欠かせません。業界最大規模の会員数を誇るTRANBIを活用したことも、よい買い手との出会いにつながったといえるでしょう。

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東京都文京区の千石駅近くに店を構えていた「讃岐饂飩(さぬきうどん)元喜(げんき)」は、食べログ百名店にも選ばれた人気うどん店。しかし、店舗が入居しているビルの取り壊しが決まり、半年程度で立ち退きをしなければいけない状況になりました。

8年経営したサロンを1000万円で売却

8年間経営した都内近郊のワンルームサロンを、1000万円弱で売却した事例があります。売り手オーナーは、M&Aへの最初の挑戦は希望価格が低すぎて断念し、TRANBIに登録して再チャレンジをしました。

希望額は下回ったものの、譲渡後に買い手オーナーと会社を設立し、一定の報酬をもらう条件で話がまとまります。

スタッフの数や技術、ブランドの認知度を資産としてアピールしたことに加え、TRANBIでこの人に事業を託したいと思える買い手に出会えたことがM&A成立につながったようです。

第三者承継では、買い手と売り手が条件面を交渉しなければなりません。時間はかかるかもしれませんが、M&Aの仲介会社やアドバイザーを利用しなくても、双方が満足できる着地点を見つけることは十分に可能です。

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中村真梨さんが、都内近郊の人気エリアで女性専用のリラクゼーションサロンを開業したのは8年前のこと。 地元で評判のサロンに育て上げたものの、経営者という立場にストレスを感じて、2019年に手放すことを決意。一度はM&Aを諦めましたが、2020年に改めて交渉にのぞみ、成約に至りました。なぜ一度目の事業売却は見送り、二度目では事業の売却に至ったのでしょうか。

まとめ

自営業の後継者を募集する方法はさまざまです。中でも、M&Aプラットフォームを活用する方法は、『コストをできるだけ抑えたい』『より多くの候補者から選択したい』という経営者に向いています。

初めての事業承継で右も左も分からないときは、事業承継・引継ぎ支援センターなどの公的機関にサポートを依頼するのが賢明です。複数の募集方法を試しながら、粘り強く理想の後継者を探しましょう。