2024-08-23

会員2名の入会だけで黒字化する結婚相談所ビジネス

買い手(法人):ライトアップコンサルティング株式会社

<中小企業の新規事業を目的としたM&A・買収事例>

 

愛知県を中心に、企業の経営コンサルティングを手掛けるライトアップコンサルティング会社。初めてのM&Aで、なんと結婚相談所を買収しました。

「M&Aの道を提案し、経営陣や従業員が幸せになった」企業を複数見届けてきた代表の西岡さんが、「幸せな人と人のマッチング」にも興味を持っており、もともと会社の定款にも含めるほど「いつか結婚相談所の運営をしてみたい」と思っていたからです。

M&A後は、「経営者向け」のサービスとして集客方法や料金体系を変え、本業のネットワークも活用しながら運営を行っている西岡さんに、結婚相談所の意外なビジネスモデルや、交渉過程を振り返ってみての感想についてお話を伺いました。

【企業同士の幸せなマッチングを見て、人と人を結びつけることに興味】

まずは

- まずは、西岡さんのキャリアやライトアップコンサルティングの概要について教えてください。
もともと会社員時代は、自動車の内装部品の設計を担当していました。

メーカーから依頼を受けてコストダウンに対応していたのですが、自社だけの頑張りでは限界があるので、ノウハウを取引先に展開してコストダウンを依頼したところ、その取り組みがうまくいきました。取引先の経営が改善され、すごく儲かるようになったのです。

取引先から「経営コンサルタントみたいだね」と言われたのがうれしかったのと、企業の売上向上に貢献して感謝される素敵な仕事だと思ったことがきっかけで、経営コンサルタントとして独立しました。

自身で立ち上げたライトアップコンサルティング株式会社は、愛知県を拠点としていて、これまでに200社以上の経営改善を実現してきています。企業の生産性向上をサポートしたり、将来の事業承継を見据えて企業価値を高めたりするための活動を行っています。

- 今回結婚相談所を買収されましたが、どのようなきっかけからM&Aに興味を持ったのですか。
M&Aに興味があったというよりも、結婚相談所の運営がしたかったというのが今回の買収理由です。

というのも、コンサルティング業を行う中で、「跡継ぎがいない」企業に対してM&Aという選択肢を提案するケースも増えていました。

昔はM&Aに対して「買収される」というネガティブなイメージが強かったものの、今は売る側と買う側、両方にとってのWin-WinのM&Aが増えているので、取引先がM&Aを行った結果、より発展したり、従業員が幸せになったりするケースを多く見てきたのです。

そうした企業と企業のマッチングが素敵だなと思う中で、人と人のマッチングである結婚をサポートしたいという気持ちも湧いてきました。実は、会社の定款にも以前から「結婚相談所の運営」を入れていたほどなんです。

そんな中、TRANBIを見ていたときに今回の案件に出会い、愛知県の結婚相談所の売却案件ということで、これはもう何かの巡り合わせだと思い、応募をしました。



(ライトアップコンサルティング代表の西岡さん)

【“早期売却”は本気の証】

- 「結婚相談所の案件であったこと」以外に、今回の案件で魅力に感じたポイントはどこにありますか。
売り手様が早期の売却を希望されていたことです。交渉が進んで、最後の最後で「やっぱり売却は取りやめます」と言われてしまうと、交渉に費やした時間が無駄になってしまうので、それは避けたいと思っていました。

結婚相談所の事業内容は、業界的に差別化が難しいので、特段今回の案件ならではの特徴というところはありませんでした。

- 「結婚相談所は業界的に差別化が難しい」とはどういったことなのでしょうか。
結婚相談所は、連盟などに加盟さえすれば、数万人以上の会員データが蓄積された共有データベースにアクセスできる仕組みになっています。

つまり、入会するお客様からすると、大手結婚相談所に入会しても、今回私が買収したような地方の結婚相談所に入会しても、データベースで検索して見つかるお相手は同じ、ということになるんです。

翻せば、こうした仕組みの業界であるため、データベースを利用するための新規加盟料金さえ支払うことができれば、新規参入がしやすい業界ではあります。

今回は売り手様が最初の加盟料を支払い済みなので、会員が2人ほど常時いれば収支が成り立つという案件でした。



(※写真はイメージです)

【結婚相談所は新規参入が容易】

- 交渉を申し込むにあたっては、どのようなことを意識しましたか。
申込者によって本気度は違うと思うので、最初に送ったメッセージでは、自分が本気で結婚相談所の運営をやりたいと思っていることをしっかりと伝えました。

「決して儲けのためではなくて、会社のM&Aをサポートして皆が幸せになる様子を見たからこそ、人のマッチングをサポートする事業を行いたいと思っている」と。

また、「定款にも結婚相談所の運営を謳っているほど、もともと挑戦したいと思った事業であった」ということも伝えました。

- 譲渡金額はどのように決まりましたか。
売り手様の希望通りの70万円で譲渡していただきました。

参考材料になったのは、新規で結婚相談所を立ち上げる場合に必要な、データベースにアクセスするための加盟料です。この加盟料は、通常期で160万円ほど。

ときどきキャンペーンが実施された際には、100万円や半額の80万円になったりすることもあるそうで。ただ、それと比較しても70万円で事業を買う方がお得だと思ったのです。

キャンペーンは不定期なので、半額になるのを待ちぼうけするよりは、70万円で事業を譲渡していただこうと思いました。

- M&Aを行ったのは初めてのようですが、交渉を振り返っていかがでしたか。
お互いの「売りたい」と「買いたい」の気持ちの温度感が一致していたからこそ、とてもスムーズに進んだと思います。

また、売り手様はご夫婦で結婚相談所を運営されていたのですが、本業と並行して事業を手伝われていた旦那様が進捗管理やマネジメントにとても長けた方でした。

M&Aにあたって擦り合わせるべきことをリスト化してくださって、毎回の打ち合わせでどこを詰めるかを明確にしてくれたからこそ、進み具合が可視化されて助かりました。

今回、弁護士の先生などには頼らずに契約の締結を進めましたが、契約書もTRANBIの雛形を活用できたので、スムーズに締結できました。

何より、「互いに不明点や疑問に思ったところがあったときには、逐一確認をして進めましょう」という認識を共有できていたからこそ、気持ちよく交渉を進められたと思っています。



(※写真はイメージです)

【集客手法や料金体系を「経営者向け」にアレンジ。本業のネットワークが鍵】

- 結婚相談所運営において、西岡さんはどんな役割を担っていますか。
まずは、申し込んでくださった会員の方の審査を行います。これが、もっとも時間が掛かるプロセスです。

面接を行い、登録の理由や価値観、趣味などをヒアリングさせていただいた上で、書類を提出してもらい、就職先や年収、独身であることなどをしっかりと確認します。こうしたプロセスがしっかりしているのは、流行りのマッチングアプリとは違う、結婚相談所らしさでしょうか。

審査に合格した方には、自らデータベースにアクセスして、お相手を探してもらいます。そして、会員の方から「この人とデートをしてみたい」という申し出があれば、私からお相手の結婚相談所に連絡して日程調整を行い、こちらでデートをセッティングします。

定期的に状況を伺いながら、ご成婚に至ったかどうかなどを把握していくという流れです。入会時の面接や書類の確認以外は、それほど手間が掛からないので、私ひとりで問題なく本業と並行して運営することができています。

- 現在は、何名ほどの会員様がいますか。
6名です。もともと、売り手様はフリーペーパーへの広告掲載やブログ、TikTokなどを活用して集客をしていたようですが、私がSNSに疎いこともあって、引継ぎ後はガラッと集客方法を変えました。

現在は、私の本業の経営コンサルタント業のお客様である、社長様への紹介が中心になっています。

たとえば「従業員の方が結婚相談所でいいお相手を見つけられたら、さらに仕事へのやる気が増し、生産性が上がって、会社の売り上げが上がる好循環が生まれるかもしれませんよ」と、会社の福利厚生として提案するケースもあります。

また、仕事一筋で頑張ってこられて現在独身の社長さんの中には、跡取りのことを考えて結婚を前向きに検討し始める方もいらっしゃるので、そうした社長さんに対して紹介するケースもあります。他に、経営者向けセミナーのランチタイムで宣伝したり、商工会議所の会報誌にチラシを挟んだり、経営者の方が読む雑誌に広告を載せたりすることもあります。

チラシや広告には「経営者向け」といったキーワードや「今まで頑張ってきた社長さんへ」といったメッセージを盛り込んで、差別化を図っています。

売り手様から譲渡いただく際には2名の会員様が元々いらっしゃいましたが、事業承継後、2人とも退会を選ばれました。実は料金設定を見直し、今後は経営者がメインのお客様になることもあって、初期費用や月会費を値上げしたのでやむを得ないところではありました。その後、本業のネットワークを通じ、私自身が新規の会員を6人獲得しました。

- 結婚相談所を運営してみての気付きなどはありますか。
データベースを見ていると、女性の方は20代や30代も意外と多く登録されていることに気付きました。驚いたのは、いわゆるお嬢様が多いことでしょうか

親御さんが政治家や経営者、会社役員などで結婚への制約が厳しいからこそ、勤務先や年収や家柄がわかった方とお会いしたいという理由のようです。そんなケースもあるのだと驚きました。

また、当社の結婚相談所に会員登録をしてくださった社長様の中には、忙しくてデートの日程が組みづらかったり、ついつい仕事優先で後回しにしてしまったりする方もいらっしゃいます。

ときには一緒にデータベースを見ながら「この人はどう?」と勧めて、次のステップに進むための背中を押させていただくケースもあります。

- 今後M&Aへの挑戦を考えている方に向けて、アドバイスをお願いします。
新規で事業を立ち上げるとなると、さまざまなハードルがあるので、軌道に乗せるまでがなかなか大変なものです。

一方でM&Aなら、「業績が好調だけれども、売り手様が何らかの事情で手放さなければならない事業」を引き継ぐことができるので、「事業化」という最初の段階かつ一番難関となるステップをクリアできていることがメリットだと思います。

1→10も決して簡単ではないものの、0→1よりはリスクがなくハードルも低いので、M&Aを活用すれば、スピーディーかつスムーズに事業を大きく育てていくことができるチャンスを得られるのではないでしょうか。

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■今回買収した案件はこちら

「愛知県の結婚相談所(愛知・岐阜・三重あたり売却希望)売却後もアドバイスなど無料で対応!」

■現在運営している結婚相談所はこちら

「結婚相談所 ぽんぽこ」

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